2018/03/01

今だから知っておくべき配送費を下げるコツとポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

通販業界の各分野のエキスパートへのインタビューです。今回は通販と物流のエキスパートであるスタークス 景利に最近の物流周りの話題について定期通販ラボ編集長の大塚がお話を伺いました。

配送料の値上げはまだ止まらない?

大塚 一部では配送料の値上げが落ち着いたという意見もありますが、どうですか?

景利 いや、まだ落ち着いていないと思います。3月にゆうパックの値上げもありますし、まだまだ値上げの波は止まらないのではないかと思います。また、運輸会社による配送料金の差もなくなってきています。だいたい1件あたり400円代でやっているところが多いです。今は安い料金でサービスを提供できているところも、今後は変わってきてくると思います。少なくとも平均的に配送料は500円前後くらいまでは上がりそうで、最高700〜800円くらいまで上がるかもしれないですね。

大塚 それは大変ですね…

景利 でも、冷静に考えて関東から九州まで300円で荷物を送れていることの方が不思議ですよね?個人で送る場合は配送距離に応じて料金が変わりますから。

なぜ配送距離に関わらず一律の配送料を実現できていたのか?
法人が運輸会社を通して荷物を発送する場合、タリフと呼ばれる独自の基準に基づいて料金が設定され、スケールメリットにより一定数以上の出荷で全国一律の配送料金となっていました。しかし運輸業界の人手不足などにより、今後は法人で大量出荷をする場合でも、距離に応じた配送料が設定される見通しです。

 
大塚 配送料が上がりきった後は下がっていくという意見もありますが?

景利 そうですね。上がりきったら一定下がると思います。ただ、以前ほど安くなることはないでしょうね。配送料の値上げ対策で、コスト削減のために宅配ボックスの利用も始まっています。

この前引越しのために3つのマンションを見ていたのですが、そのうちの2つが宅配ボックスはAmazonでした。アメリカではついにAmazonが宅配に参入しました。日本とアメリカの物流は事情が異なり、日本では宅配の担い手が不足しているので、日本では宅配ボックスを狙いにいくという戦略が伺えます。

通販企業の協力で配送料が安くなる発送代行の仕組み

大塚 ここ1ヶ月の間に、宅配の値上げに関して「値上げは仕方ない…」と諦めている人や、そこまで問題はないだろうと感じている人が増えている印象でした。その点について、どう思われますか?

景利 倉庫側へ協力するなど、倉庫側の作業を減らすことで利用料=全体の配送料を抑えられる工夫が出来るのではないかなと思います。

例えば、商品にJANコードを貼ってくださると、倉庫側の作業が楽になります。かといって、貼っても貼らなくても料金が変わらないのは、ある意味不公平ですよね?それは良くないことだと思いますのでクライアント様ごとに料金を最適化していく必要があると思っています。具体的には、条件を満たせば料金が安くなるといったマイナスオプションなどです。

大塚 イメージでいうと定食屋でご飯を少なくしたら安くなるような感じかな?

景利 そうですね(笑)。発送代行側にとって作業が楽になるような工夫をしていただいているところには、値引きをするといったことですね。通販企業と発送代行会社がお互いメリットになるようなシステムです。配送料の値上げがあっても、通販企業側の工夫次第で抑えられる形を目指したいですね。

大塚 配送業者さんにとって運びやすい形にする必要もあるし、倉庫側にとっても作業しやすいようにする必要があるということですか?

景利 例えば「倉庫の汎用資材を使ってくれると10円安くする」といったこともできると思います。安くすることでロット数が増えれば将来的に倉庫側の利益にもなりますし、汎用資材を使ってくださるお客様とそうでないお客様とで料金が同じなのも不公平なので、直していきたいです。

プラットフォームを作っている側からすると、クライアント様に公平に価値を提供することが大切だと感じています。最初に安く提示して、条件に当てはまらないと加算されるシステムだと、クライアント様はガッカリすると思うのですが、最初高めに設定しておいて通販企業側の工夫次第で安くなるなら、クライアント様も積極的にコスト削減に取り組めると思いますし、倉庫側も負担が減り、クライアント様に還元できます。

また、「月3000件以上なら1件540円」とするよりも、「1000〜2000件は560円、2001〜3000件は540円、3001件〜が520円」とすることで、通販企業側も「成長して料金安くするぞ!」というモチベーションが上がると思います。

大塚 通販企業が工夫できる、倉庫側の作業を楽にする項目はありますか?

景利 前日までにデータを送ってくれるかどうか、「急ぎません便」を使う、入庫時にラベルを付けてくれるか、などがありますね。倉庫側は作業効率を高めて価値を還元したいのですが、そのためには通販企業さんの協力が必要です。そのためには通販企業さんの方で工夫すればその分メリットが得られる仕組みを構築して発信していくことが大切に感じます。

倉庫側だけで最適化することには限界がありますし、通販企業さんは倉庫側が何をしているのかはわからないと思います。そこはわからなくても良いのですが、「倉庫側の作業負担が減る工夫としてどんなことができるか」を知って実践していくことで配送費が抑えられることが浸透して欲しいですね。

コスト削減の鍵は箱のサイズを小さくすること

大塚 商品を入れる箱のサイズについては何かありますか?

景利 例えば、ネコポスに合わせて箱のサイズを調整している会社さんもありますね。私たちも箱のサイズは小さくした方が良いことを提案しますが、お客様の方からサイズを小さくしたいという相談は少ないですね。料金が値上がりしていないので、まだそこまで問題視されていないように感じます。

箱のサイズを小さくしようとすると商品の大きさ自体を小さくする必要がある場合もありますが、他にも工夫することはできます。例えばシャンプーの通販で、最初はボトルで送っていたのですが、詰め替えパックにすることでサイズを小さくしている例がありますね。化粧品の通販などにも応用できると思います。

大塚 1ヶ月分の量が入ったボトルの代わりに、1日分ずつをパックに小分けにして30パックにすることで、ネコポスに入るようにしたという事例を聞いたことがあります。

景利 なるほど、そんな事例もあるのですね。やっぱり物流と販売戦略は大きく関連していますからね。例えば、お客様に対して「毎月ボトルでも提供できますが、詰め替え用だと安くできます。」といった提案をすることができるかもしれません。詰め替え用を用意することでコストを抑えて値段が下がればLTVも伸びると思いますし。

あと、健康食品・化粧品の通販会社さんにオススメしたいのは、箱の高さを5cm未満にすることです。5cmを越えると料金が一気に高くなりますから。この前倉庫で300〜400個の箱のサイズを図ってみたのですが、7〜8割の荷物は5cmにサイズが収まっているのですが、そうでないものもありました。しかも、5.5cmとか微妙な超過なので勿体無いと感じました。

今後サイズによって値上げの幅が変わってくるので、商品開発の段階から戦略を立てていった方が良いと思います。でも、こういった知識を持っている通販企業さんは少ないですね。マーケティングを勉強することも大切なのですが、物流のようなインフラを見直すことでもコストを削減して売上を伸ばすことができます。

大塚 ダンボールの場合は処理も大変だし、1ユーザーとしては封筒などに入れて送ってくれるとありがたい。

景利 ユーザーにとっても処理の手間が省けて、発送する側もコストを削減できるので、入れ物のサイズダウンは良いこと尽くしですね。まだ取り組んでおられない通販企業さんには、ぜひ取り組んで欲しいと思います。

総括

配送費の値上げは避けられず、それに伴い発送代行の料金の値上げも不可避であることがわかりました。一方で、配送費で値上がりした分、倉庫の作業効率を上げることや梱包サイズを見直すことで、全体的に料金を下げることができる余地があることもわかりました。

そのためには、通販企業側も倉庫作業の負担を減らす工夫をして、その分しっかりと値下げという形で利益を還元するといったシステム作りが大切であるということでした。
このシステムについて聞いていると、「利用してくださるクライアント様に公平に価値を提供したい」という想いが伝わってきました。

関連記事

コメントを残す

*