日本のインフラとして、人々の生活を支えてきた物流。
しかし今、この物流が崩壊の危機にさらされています。
しかし、世界を見渡してみると同じような問題に直面している国は多くありました。
今回は、世界NO.1のEC大国であり、世界NO.1の宅配個数を誇る中国の事例から日本の物流問題の解決への糸口を探していきたいと思います。
中国がEC大国である理由
人口13億人の中国。今この国でなにが台頭してきているか、ご存知ですか?それは紛れもなく「EC」です。
こちらのグラフをご覧ください。
出典:リブライトパートナーズ
こちらのグラフは、2014年時点での主要各国のEC化率を表したグラフとなりますが、
中国は当時でさえ12.4%と高いEC化率でした。それから3年経った現在、中国のEC化率は16%。
このEC化率は今後も上がっていくと予想され、世界のアナリスト達は、2020年には25%になると予測しています。中国でこれだけEC化率が伸びている要因としては、、、
・国土が広いため、オンラインショッピングのメリットにマッチすること
・アリババなど、世界的に最大手なEC企業がいること
・便利なモノはなんでも使ってみよう」という国民気質
が挙げられます。
1日に8,600万個の荷物が行き交う国、中国。
世界トップのEC化率を誇る、中国。もちろんそれに伴って宅配便の個数も増加しています。
2017年1月5日の中国郵政管理会議で報告された国家郵政局のレポートによると、2016年の宅配便の個数は313.5億件(前年比51.7%増)、1日に約8,600万個の荷物が配送されていると言われています。ちなみに現在の日本は40億1861万個ですので、中国の物量の凄まじさがお分かりいただけるかと思います。もちろん、この物量に中国の物流は耐えきれるわけがありませんでした。
日本が目指す宅配のカタチが、中国にあった
このような経緯から中国でも今の日本と同じように物流はパンクしていました。
日本と同じように、近くの集配所から自宅までの「ラストワンマイル」に課題があり「2,000kmは2日で運べるのに、数百メートルの配送に3日かかる」と揶揄されたほどです。
しかしそんな中国で、今取り組み始めているのが、もともと国内で主流となっている「労働力のクラウドソーシング」を宅配業界に活かす、という取り組みです。この取組みは、
2)便利屋に「配送依頼」を持ちかける
3)便利屋は、自社が抱えている配達人たちに仕事を打診する
4)配達人は自分の携帯にアプリをインストールしているので、仕事をしたいタイミングでアプリを起動する
5)やりたい仕事であれば引受け、やりたくない仕事であればスルーする
という仕組みで成り立っています。
もともと中国では、配車サービス、デリバリー代行、プレゼント配送代行など
「誰かにモノを運ぶ」という仕事(=便利屋)が一般的でした。
今回は、これまでの便利屋の仕組みをそのまま宅配業界に展開した形になるため
上手くサービスとして成り立っているのだと考えられます。
日本でも同じような仕組みが「物流版Uber」として話題に上げられていますが、
法整備や配達員への信用問題など、乗り越えなければならない課題が多く、
まだまだ現実的ではありません。しかし、これまでアナログだった物流をテクノロジーや新しい仕組みで解決しよう、という動きはこれからも続いていくでしょう。
日本でも中国のような仕組みを構築するために、いまからテクノロジー化できるところを改善していくことが物流問題を解決する糸口になっていくと考えます。
参考URL:https://wisdom.nec.com/ja/business/2017051801/index.html