2018/01/15

【通販物流2018年未来予測】物流の値上げが避けられない中で対策しておくべきこと

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同じスタークスで働く執行役員 景利に、2017年の物流市場の変化と波乱の一年を振り返りつつ、物流における今とこれからを配送問題の予測や対策と合わせて定期通販ラボ編集長の大塚がお話を伺いました。

ついに爆発した物流の問題

大塚 今回は、2017年を振り返りつつ、物流は果たして今どんな状況なのか、そして2018年はどうなっていくのかについて、定期通販企業の方々に向けて情報提供してもらいたいと思います。

景利 いやぁ…大変な年でしたね(笑) 2016年の末ごろには2017年は絶対に配送料が値上げされるんじゃないかとは思っていたんですけど、本当に大きく動いたなと。自分が想像していた以上に物流市場に溜まっていた“負”の部分が爆発したというか、一気に明るみになった年でした。

大塚 この約1年間は、ヤマト運輸さんをはじめ各運送会社で色々な動きがありましたけど、具体的にどんなことが起こったの?

景利 まず、2016年12月にネット上に拡散された、配達員が荷物を蹴ったり地面に投げつけたりしている動画が話題になりましたよね。あれが一般社会にとっては物流が混乱している状況の分かりやすい象徴になったようで、「物流はパンクした」というニュースが取り上げられるようになりました。

ヤマトさんがAmazon向けの送料を値上げするという非常にインパクトのある発表をして、その後4月にヤマトさんも基本運賃の値上げを発表。

それに便乗するかのように1週間後に佐川さんが値上げ、そして郵政も値上げしました。佐川さんは上場前に値上げをして、今年中に一気に利益向上を図る考えだったのでしょう。怒涛のように次から次へと値上げが巻き起こりましたね。

物流業界を変えていくための力になる施策とは?

大塚 配送費の値上げをせざるを得なかった背景には、どんな問題があったからでしょうか?

景利 そもそも人手不足というのが大きな問題だったと思っています。人手が足りないから、人を雇わなきゃいけない。そのためには企業として利益を出していかなければということで値上げせざるを得ない状況になったのではないかと。

大塚 現状では、仕方が無いのかもしれないね。そんな中、各社が色んなアプローチで物流問題を解決しようとしていると思うんだけど、特に気になるものとか、これ面白いなと思う施策はありますか?

景利 僕が一番面白いなと思ったのは、Amazon「Hub」という宅配BOX。物流において、一番手間がかかってしまうのはコミュニケーションで、人がいなければ荷物が渡せないという問題がそもそもあったんですよね。それが解消されるので物流業界を大きく変えるのではないかと思います。

これまでの日本のECでは、自宅に配送するのが基本でしたけど、まとめて届けられた荷物を、注文した人が指定の場所まで取りに行くということが普通になるはずです。

BtoBじゃないですけど、まとめてたくさんの物を送るというスタイルにどんどん変わっていくのではないかと思っています。Amazon「Hub」を使うと、例えばひとつの拠点に一度に100個荷物を届ければ、100世帯に配送する必要はないわけです。

大塚 そのモデルは、定期通販企業さんにとっても何かしら影響はあるものなのかな。

景利 すごくメリットはあると思いますよ。最初から決められた場所にまとめて送るかたちになれば、配送コストをかなり抑えることができます。

特に定期通販でいうと、消耗品や日常品、人に知られたくないような商品などを扱っている企業さんも多いので、自宅への配送ではなく、指定の場所に取りに行くことを希望する消費者も増えるのではと思っています。

コンビニ受け取りも同じですね。2018年は、こういった試みの基盤構築ができていく年になるんじゃないかと思います。

大塚 コンビニ受け取りを利用しているユーザーさんはけっこういるの?

景利 これ、スタークス調査になるんですけど、大手企業さん数社からのデータによると、ユーザーの約20%がコンビニ受け取りを選んでいるみたいなんです。

大塚 えーー、そんなに!? 自宅の方が楽なのに…

 大手はもう始めている料金設定の最適化

大塚 ちょっと話に出ましたが、定期通販の企業さんがすごく興味を持っているのはやっぱり配送費だと思うんですよね。そのあたりは今後どうなっていくと思いますか?

景利 僕最近、色々な人とお会いしていて、大手配送会社関係者さん100人くらいからお話をうかがっているんですけど、みんな口を揃えて言うのは今後も値上げをしていく方向だということ。

大塚 今後も、まだまだ?

景利 はい。大手宅配会社さんが目指しているのは配送料金だけで600円程度。そのくらいをアベレージにしていきたいという考えがあって、これから2、3年かけてそこに近づけていくのではないかと。でも、ただ平均単価で考えるのではなく、最適化していく方向になるのだと思います。

テクノロジーの無い世界だと、大量の物を個別にコントロールするのは難しいと思いますが、テクノロジーが普及した今なら、物が多くても正確に把握することができるはずなんですね。サイズなどの姿態別だったり、お客様の状況だったり、商品だったり、取り扱い方法だったり…

様々な条件の組み合わせで料金は定められていく流れに変わるのではないかと思います。

大塚 では、極端な話、一つ一つの荷物の条件や環境によって、金額がどんどん最適化されていくということ?

景利 今までは物流を気にせずに商品を作ったり、ブランディングしてきたと思いますが、これからは物流のことを考慮しながらECを構築していかなくてはいけないと。配送時のコストを意識して商品パッケージを変更するという気遣いも必要になってくると思いますね。

大塚 意識するかしないかで、コストは全然変わってくる?

景利 すごく変わりますね。たぶんちょっと意識するだけで150円から250円くらいは変わると思います。以前、定期通販ラボで紹介しましたが、梱包材が60サイズか47サイズかで、台車に積む荷物の量が2倍違うということになるんです。

大塚 そこまで大きく変わるんだね。

景利 容積で見るとすごくインパクトがありますよね。

大塚 確かに普通に考えても、一度にたくさん運べればコストは下がるものね。

景利 もう一点、“地帯別”を意識すること。例えば東京から東京に送る荷物の料金と、東京から九州に荷物を送る料金は変わってきます。各エリアによって料金設定に違いがあるということです。

大塚 移動距離次第ということだね。たしかに、僕たちが消費者としてコンビニで荷物の配送を依頼するときって、距離によって全然金額が違うよね。あれが法人にも適用されるという感覚だね。もうすでに進んでるの?

景利 はい、特にヤマト運輸さんは積極的に進めています。

 商品を早く手元に届けることが返品率を下げる秘訣

大塚 他に最近の面白い事例とかありますか?

景利 最近、スタークスでデータ分析を始めまして。色々と調べてるんですけど、ひとつそのデータの中で面白いと思ったのは、消費者が品物を注文した日から配送する日までのリードタイムが短ければ短いほど、返品率が下がるということです。

大塚 おーーー!

景利 本当に顕著に数字に表れていたので、非常に面白いデータだなと思っています。自分も興奮してます(笑)

大塚 注文を受けたら当日発送、明日到着がベストということ?

景利 それが一番返品率が低かったんですけど、5日、6日後の到着になってくるとどんどん上がるんですね。でも、それ以降は返品率が下がる。ナゼなんだろうと思ったら、6日以降に届ける荷物に関しては、ほとんどが受け取り日時が指定されてたんです。

大塚 それって、ウチのお客さん全部だから、相当量のデータだよね。

景利 直近で600万件くらいで調べてそのデータでした。注文が入ってから配送するまで、配送してからお届けするまでのリードタイムをどれだけ短くできるかですね。ECでよくいわれているのが、購入する直前が一番モチベーションが高いということ。そして、そのあとどんどん落ちていくという感覚と全く一緒ですよね。

大塚 理論で分かっていても、データとして出ている実際の数値を見ると全然インパクトが違いますね。Amazonさんは、それをまさに如実にやってますからね。

景利 例えばカートで受注を受けてそこから決算の確認をしたり、各手続きをして、その後に物流に流れてくという処理のスピードについても来年ぐらいは大きく変わってくると思います。

そのためには、今まで人間の手でやっていたことをしっかり自動化してカートと物流とをつなげていければ、より早くお客様に商品をお届けすることができるんじゃないかなと。

大塚 なるほど、データを解析していくのは面白いね。

景利 今後も色々な物流のデータを見ていくので、面白い傾向が見えてくると思います。詳しくは今後の定期通販ラボをみてください(笑)

 今後の値上げはステップアップ状態?!

大塚 あと、今後意識していきたいこととか、今、興味を持ってることはありますか?

景利 そうですね、2018年の物流は本当にこの2017年の影響がそのまま反映される年なのかなと思ってまして。2017年に大手宅配会社配送会社さんがしたことは、国民やEC業者さんを煽っただけだと。2018年は、しっかりと基盤構築をしていくことになると思います。宅配会社さんはさらに値上げ一本線でいきそうですが…

大塚 もう一回くらい値上げしたから終わりなのかな、なんて思ってる部分もあるんだけど、そんなことはない?

景利 そんなことは無いですね。もっとくると思います。

大塚 まだ2017年は、値上げの始まりにすぎないということなんだ。

景利 そうですね。今後3か年の中の方針にしかすぎなくて、これからがたぶん本当の意味での値上げになっていくのかなとは思っています。

大塚 じゃあもう、1回、2回、3回と… 皆が調査してくれたところによると、まだ半分くらいの企業さんしか値上げ対象になっていなかったけど、半分といえどもここ最近でいっきに割合は上がってきている感じはしてるね。

景利 そうですね、他の宅配会社さんでも7月に一回値上げして、10月に一回値上げして、来年の4月にもう一回値上げしますなんていう話を聞いたりするので、ステップを踏むかたちでの値上げが発生するのかなとは思ってますね。

大塚 そうですか、値上げも本格化するということだね。

 サイズ別料金を意識した商品開発のススメ

大塚 あと、今後意識していきたいこととか、今、興味を持ってることはありますか?

景利 先にも話しましたが、今後の物流はサイズ別料金になっていくところが本当に大きいと思ってます。梱包資材とかパッケージとか、商品の製造過程の部分と物流がより密に連携し合わなければ、いいコスト削減はできないと将来的には思ってます。

大塚 もう少しかみ砕いて言うと?

景利 今だと、「キログラム」と「資材」と「パッケージサイズ」という判定項目があって、それら3つが噛み合わさって料金設定されます。47サイズだといくら、60サイズだといくらみたいな基準がありますが、今はそれプラス、何キロまでいくらといったような、キロサイズもあるんです。

あともうひとつの条件は、上にどれだけ積めるかということ。1個の段ボールに上に30個積める荷物と、上に50個積める荷物は積載効率が違いますよね。段ボールの箱の中に空気がたくさん含まれていると多く積めないんです。

大塚 潰れちゃうんだ。

景利 けっこう難易度が高いというかマニアックな域になるんですけど、そういったところも色々と考慮して、開発していかなければいけないと思ってます。それをひとつの会社内でできる方が、すぐにポンポン進められるのでOEMと物流がつながることが必要なんじゃないかなと思います。

大塚 物流を大きく変えるには、商品開発のところからやってかないといけないんだ。

景利 そうですね。でもそういうところをしっかりと抑えておくことで全体の最適化が可能になると考えています。

大塚 他に、定期通販企業さんに伝えたいことはありますか?

景利 物流業界が大きく変わってきている中で、配送会社さんよろしくねとか、倉庫会社さんよろしくねって、他に委ねているだけだとやっぱり限界が来ちゃうと思うんです。

今後は運賃とか配送料金がよりロジカルに設定されていくので、しっかり理解しておいた方がいいということと、各業界が協力していくことで、この値上げをはじめとする物流問題は抑えられるんじゃないかと思ってます。

【2018年予測】2017年の配送費問題は始まりに過ぎない!

総括:各配送会社が実施した値上げについて、今後もステップを踏んで値上げは続いていく可能性が高い事が分かりました。しかし、配送費の値上げには判定項目や基準があること。さらにはその為の対策や自社で出来る取り組みを知ることも出来ました。

配送料金の設定をしっかり理解していく事が、今後はより重要になりそうです。

 

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