「さあ、リピート通販を立ち上げよう!」
「2つ目の事業として、通販に参入しよう!」
そう考えたとき、一番気になるもの。それは初期費用ではないでしょうか?
「いったい、いくら用意すればいいんだろう…?」
「もし失敗したら、どのくらいの金額になるのだろう…?」
50万円とも、2000万円とも言われる通販の初期費用ですが、あらかじめ必要な金額や失敗パターンがわかっていれば、安心して新事業にトライできますよね。
そこで、今回はリピート通販を始めるために必要なコストの内訳を全公開します!
ただし、その前に・・・
目次
開業は今が好機?通販事業における市場規模とは
経済産業省が2016年6月14日に公表した電子商取引市場の調査結果(PDF)の結果によると、BtoC(企業と個人での取引)市場規模は13.8兆円となり、前年対比で7.6%の増加となり、高い成長率で伸びているようです。
確かに、小資本でも始められるが…
初期費用はなるべく低く抑えたい。それが経営者の本音だと思います。
事実、
「初期費用は50万円で大丈夫です!」
「小ロットから仕入れられます!」
とアドバイスする代理店やコンサルタントも少なくありません。でも、少し立ち止まって、冷静に考えてみましょう。
すでに通販ビジネスに携わっている人には当然と思われる話ですが、リピート通販は投資回収ビジネスです。
初期は赤字でも、広告費を投下して顧客リストを手に入れる。
そして、その後のお客様のリピート購入を促して、利益をこつこつ積み上げ、黒字化していく…。
これがリピート通販ビジネスの本質なわけです。
したがって、初期費用を抑えるということは、広告費を抑えるということとほぼイコールです。
広告費により事業成長速度が変わる
たしかに、広告費ゼロ円でお客様を獲得する方法もあるにはあります。
メディアにニュースを流し、無料で掲載してもらうプレスリリース。
アライアンス先と顧客のリストを交換し合うジョイントベンチャーなど。
社長1人が食べていくだけであれば、こうした手法に頼っていくのもありでしょう。
しかし、ビジネスとして売上をコントロールし、早い段階で年商数億までスケールさせたいなら、広告費は”必須”です。
身もふたもない話ですが、はじめに用意できる広告費が大きければ大きいほど、リターンも大きく、成長スピードも早い。
これがリピート通販ビジネスの本質なのです。
さらに…
小ロット製造にはデメリットもある
「商品は10個から始められる」
「ドライテストしてから商品を作るから、リスクはない」
確かに、小ロットで仕入れられることは事実です。
しかし、これもサプリメントや化粧品の製造業をやっている人であれば周知のことですが、製造ラインや機械の仕様上、経済効率が良い最小ロットは3000個前後です。
それ以下のロットでオリジナル商品を作ろうとすると、残念ながら単価が高くなります。
もしくは、オリジナル商品とは名ばかりで、すでに別のクライアントで使用した既存の処方(バルク)を、パッケージとネーミングただけのリパック(品詰め替え品)を掴まされることになります。
つまり、費用を抑えようとするばかりに、利益率や商品力を失ってしまうわけです。
また、商品がない段階でテスト販売を行い、テストの結果が良い場合にだけ商品を製造するドライテストと呼ばれる販売手法もありますが、法的にはグレーであり、アメリカでも強く規制されています。
リスクは少ないかもしれませんが、お客を裏切る行為なので、オススメできません。
広告費以外の気になる内訳を公開!
さて、こうした事実を踏まえて、経営者が真っ当なビジネスとしてリピート通販事業を立ち上げる場合、妥当なコストはいくらなのか? これについて公開します。
なお、以下の価格は2016年4月時点のものであることをお断りしておきます。
①商品原価:50万円~
どのくらい成分や容器にこだわるかにもよりますが、3000ロットで製造した場合、1個あたりの単価は300~900円程度になるでしょう。
ロットを1000個に抑えることも可能ですが、ロットが低いほど単価は上がります。
したがって、予算としては50万円~150万円ほどを見ておきたいところです。
②制作費:30万円~
商品を販売するためには、ランディングページ(LP)が必要です。
制作費の相場は、リーズナブルな制作会社で30万円~(スマートフォン、PCの両方に対応する場合)。
実績があり、依頼が殺到する制作会社の場合は、150万円近くチャージするところもあります。
ただし、最近ではスマートフォンからの売上が7割以上を占めるようになってきていますので、制作費を抑えるために、PCサイトを初めから作らないという選択もできるようになってきました。
なお、どうしても予算を抑えたければ、社長自らがコピーを書き、クラウドワークスやランサーズに登録している個人事業主に直接デザインだけを依頼して済ませることも可能です。
この場合、金額としては10万円程度で作成可能です。
③システム費(カート利用料):0円~10万円
売り切り型の通販とは異なり、リピート通販では定期注文の顧客が大部分を占めます。
そのため、顧客ごとのお届けサイクルや、次回出荷日の管理が必要になります。
アクティブな顧客数が200人程度までは、エクセルでも十分管理できます。
が、それ以上の人数になると、管理が煩雑になり、ミスが増えくるので、アクセスに切り替えるか、リピート通販に対応したASPカートを入れることになるでしょう。
なお、現在、国内でリピート通販に対応しているカートは
たまごリピート、リピスト、侍カート
この3社です。無料プランも用意されていますが、使い勝手を考えると初期費用数万円、月額5~6万円前後のプランに落ち着くはずです。
カート以外のコストとしては、その他、ドメインやサーバー費用に数千円かかる程度です。
④決済手数料:0円~10万円
クレジットカードやコンビニ後払いの決済会社と契約する必要があります。
主要な決済会社であれば、決済金額に対して3~5%が課金される形式になります。
⑤物流コスト:0円~10万円
近年は小規模通販に対応した物流サービスが増えてきました。
中には、初期費用は無料、保管料込み、出荷した分だけ課金という物流会社もあります。
⑥コールセンターコスト: 10万円~
コールセンターを外注する場合、マニュアルの作成、オペレーターへの研修などの初期費用として10万円前後になることが多いように思います。
なお、自社にコールセンターを保つ場合は、フリーダイヤルの開設費や回線料の実費だけが発生します。
⑦広告費:最低でも3ヶ月分
先ほどご説明したように、広告費があればあるほど、売上の伸び率は上がります。
顧客獲得のために投資した広告費を回収できるまで平均して3~4ヶ月はかかりますので、最低でも3カ月分の広告費は用意しておく必要があるでしょう。
⑧人件費
意外と見落としがちなのが人件費です。
たとえば、通販の立ち上げに半年かかるとすると、売上は発生しないのに、半年分の人件費が先行して発生することになります。
したがって、事業を立ち上げるスピードは早ければ早いほど望ましいのです。
まとめ:最低限必要な金額は100~200万円程度!
じゃ、結局、いくら必要なのよ?と思われる方に向けて計算をすると、商品や制作費、その他インフラの構築に最低限必要な金額は100~200万円程度でしょう。
それ以上の金額は、広告費どのくらい用意するかという領域だということです。
経験的には、すみやかに通販事業が立ち上がり、1~2年で年商数億円という規模に達する会社は、初期費用として2000~3000万円ほど用意しているか、もしくは、通販以外に別の収益事業を持っているケースが多いように思います。
とはいえ、もちろん、200~300万円という小資本からの立ち上げが不可能なわけではありません。
実際、私が通販を立ち上げたときは、初期費用300万円からスタートしています。
ただし、この場合は広告費に回せる予算が少ないので、知恵を絞り、足を使う必要があることを覚悟しておきましょう。
実際には、社長1人の個人商店という規模を脱することができず、年商3000万円くらいで売上が横ばいになることが多いようです。
世の中には元でゼロで始められるビジネスがたくさんあります。
そんな中、多額の初期投資が必要になるリピート通販は、決してラクなビジネスではありません。
それでもあなたがリピート通販というビジネスに参入されるのであれば、定期通販ラボで公開しているノウハウが、きっとあなたの役に立つはずです。