健康食品・化粧品通販のネットショップにおいて、CRMの基本戦略はステップメール。
そこで、このページでは前回お伝えしたステップメール活用の「応用編」として、顧客属性(顧客情報や注文情報)を使った事例や書き方をお伝えします。
カートシステムや配信サービスの機能によってやれるもの、やれないものもあることから、ステップメールをここまで活用できているネットショップは少ないですが、たまごリピートでは、自由自在に設定が可能なシナリオなので、ぜひ挑戦してみてください!
目次
ステップメールとメルマガの違いとは?
通販ビジネスに携わる人の中でもステップメールとメルマガの違いについて正しく説明できるか?と問われるれば躊躇されるのではないでしょうか?
メルマガ・ステップメールというツールの効果を最大限に発揮していくためには両者の違いについてしっかりと理解を深め、必要に応じて利用していくという事が顧客接点の少ない通販ビジネスで情報発信力を高める方法の一つになります。
それでは両者の違いを簡単にご説明致します。
メルマガとは?
まずはメルマガについてです。
メルマガは過去の購入や登録フォームへ受信者であるユーザーが自らメールアドレスを登録してくださり手に入れた登録者リストに対して、基本的に同一の内容を、一括送信で送る事がほとんどです。
そして、メルマガで取り扱う情報は、新着商品やセールの案内、季節に応じたレコメンドがメインになります。
つまり、メルマガとは不特定多数のお客様に対して、一方的に情報を配信する、いわばチラシのような存在であるという事が言えます。
ステップメールとは?
続いてステップメールです。
メルマガが不特定多数に対して一方的に情報を配信するチラシであるのに対して、ステップメールは、美容室などから届く様子伺いのハガキのようなものだと言えます。
美容室などから届くハガキには、来店のお礼もあれば、前回から3ヶ月経ちましたが、様子はどうですか?といったもの。
また、誕生日などにはバースデーカードが届いたり、髪の毛に関わる豆知識が書かれているような場合もあります。
ステップメールとはまさにこのようなメールの事なのです。
したがって、一括配信ではなく、ある程度事前に設計されたお客様の段階(購入後、購入から3ヶ月後、イベント毎)に合わせて内容を替えて送信します。
また、扱う内容も、段階に合わせて事前に用意した定型文などを必要に応じて変更しながら作成していきます。
つまり、単なるプロモーションツールではなく、顧客接点の密度を高め、企業と顧客の信頼関係を高めたる関係性構築ツールだという事ができます。
2つのメールの特性を纏めると「多くの人に即時で伝える、配信数に有利なのがメルマガ、セグメントを絞る手間はあるが、反応率が良いのはステップメール」と言えます。
単品通販企業の効果的な成功事例
リピート購入率をあげる事が重要な単品通販企業では、現状もっとも読者からのクリック率や購入率が高く、費用対効果の高いマーケティングがステップメールだと言われており、様々な企業で導入されているためノウハウなどが、蓄積されてきている状態にあります。
その中で、効果的だった成功事例について一つ紹介します。
メルマガの5〜10倍の開封率を実現した4つの対策
先ほど、メルマガについても簡単に説明しましたが、メルマガはその性質から開封率が5%程度という事も珍しくありません。
しかし、適切な対策をとる事によって平均の開封率を50%以上に引き上げる事ができたという事例です。
まず、前提としてステップメールが導入できるように顧客分析を行った結果、顧客属性ごとにグルーピングし、メールの内容などを検討しておく事が必要です。
具体的に開封率を高めるために行った対策は
1)オファー設定
2)メールパーミッション率向
3)配信のタイミング
4)件名や差出人名の工夫
上記の4点です。
メールパーミッション率向上
メールパーミッション率とはメール配信を許可してくれる顧客の割合の事です。
特定商取引法によってオプトイン規制(許可なくメールを送りつけてはダメ)が定められているため、事前にメルマガ配信に許可をしてもらう事が必要なのはご存知だと思います。
しかし、何も対策を講じなければメールパーミッション率は4割程度の止まってしまいます。
これを改善するためには、例えば、初回購入時にトライアル価格を設けて、値引き価格の適応にはメルマガ購読は必須などの条件を整備する事が効果的です。
ここでポイントとなるのは、購買の妨げにならないレベルで極力選択肢の幅を狭めるという事となります。
この対策を整える事でメールのパーミッション率を限りなく100%に高める事ができます。
配信のタイミング
続いて、ステップメールを円滑に運用していく上での基本的な考え方となりますので、確実に抑えていただきたい対策です。
ステップメールは顧客の段階ごとに適切なメールを配信する事で運用します。
内容を限定しているステップメールはタイミングを逃してしまうと通常のメルマガよりも意味の無いものになってしまう可能性があります。そのため、適切なタイミングを逃さないという事が重要です。
配信のタイミングに関しては、事前の設計を十分に行い、実務的な運用フローを整備した上で運用していくようにしましょう。
オファー設定
オファー設定とは、「今買う!」ための動機付けのための対策です。
メール配信を許可している、もしくは、リストにあるという段階でほぼ100%見込み客です。
オファー設定は、今買う理由がなく、購入につながっていないという見込み顧客に「今買う!」ための動機付けをするための対策だと言えます。
具体的には、
サンプルを請求した顧客のおおよその使用期間を想定し、終了前に「今日から●日間限定セール開催」などとメールを配信する事によって、ちょうど無くなったし、安いなら買っておこう!」という購入のための動機付けを行う事ができます。
ポイントなのは、サンプル請求をした顧客の行動を分析して送る、また、購入後、ちょうどなくなりそうなタイミングを狙うなど、ばらまき的に行わないという点です。
件名や差出人名の工夫
そして最後は、開封率をあげるための工夫である、件名や差出人名の工夫です。
メルマガと言えば「今だけ激安!今すぐ開封!」といった”いかにも”な件名が多いですが、1日平均20通程度届くと言われているメルマガにおいて、このような表現は正直飽きられていると言っても過言ではありません。
例えば、
苗字などで「〇〇様へのご案内」などと書かれていたり、「〇〇様、先日の〇〇の効果はいかがでしょうか?」と言った実名の入っている表現を使えば興味を引く事ができます。
また、意外と着手されていない方が多いですが、送信名にも工夫をする事が重要です。
せっかく、工夫したメールも送信者名が「〇〇メルマガ」「通販サイト〇〇」などであれば、タイトルを見る前に開封されない可能性が高くなります。
したがって、実名で「田中(△△ショップ)」や「田中太郎」と言ったように実名であれば開封のハードルを下げる事ができます。
ポイントは件名、差出人ともに実名を使うという事が重要です。
以上のような4つのポイントを実施した事によって、実際に開封率を5倍〜10倍以上にし、購買行動を促進できたという事例が実際にありますので、是非取り入れていただきたいと思います。
【応用編1】 定期継続促進
LTVの高いネットショップは、定期購入のお客様へのフォローも欠かしません。
定期購入中のお客様へのフォローの目的は「定期購入の継続」なので、最も離脱に繋がりやすいタイミングである「次回定期購入日が近づいた」際に離脱に繋がる主な理由
「余っている」「使い方がわからない」「効果が実感できない」
といった不安を和らげるメールをお届けすることでフォローを行います。
※定期継続促進のステップメール全体設計
① 起点(ステップメール配信のきっかけ)
「購入日から5日経過」を起点に設定します。
商品が到着し、利用を開始された頃合いを見てステップメールの配信を始めます。
初めの2回は商品説明のみに留めましょう。
② 訴求内容1 効果への「不安」や「疑問」に応える
使いはじめのから2週間頃までは効果への不安や疑問が生まれやすい時期です。
この時期に使用期間が近い先輩の声を入れたり、お客様からの質問の多い項目を掲載することで「不安」や「疑問」を解消し離脱防止に努めます。
③ 訴求内容2 喜びの声やメルマガでフォローを継続
この時期のお客様は効果については一定の満足をいただいているはずです。
紹介すべきは直接的な声よりも「商品と出会ってどんな良いことがあったか」といった効果の先にあったエピソードが最適です。
(例:「子供からキレイだね、と言われた」等)
また定着したお客様は既に商品やサービスについて理解を深めていただいているため、以降はキャンペーンやお得な情報でフォローを行うこともあります。
このステージまで来たお客様に限り、メルマガを配信している企業様もございます。
ここで、ステップメールで定期継続促進を行う3通目の書き方の例文をご用意致しましたので、参考にして下さい。
【書き方の例文】
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- ●お客様名を入れる● 様
いつも●店舗名を入れる●をご利用いただき、誠にありがとうございます。
ご注文から約2週間が経過しましたがケアの状態はいかがでしょうか!?
まだ効果は出ていないという方も、少しずつ効果が見えてきたという方も、
実は自分では気づかないところで変化が表れてきているかもしれません。
もし下記項目の中で1つでも当てはまるものがあれば良い方向に向かっている兆候です。ぜひチェックしてみてください。
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥
変化チェックシート
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥
■商品特性に合わせた項目をいくつか入れる
いかがでしょうか?
小さな変化に気付きながらケアを続けて行きましょう。
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【応用編2】 ステップメールで休眠掘り起こし!
次の事例は、最終購入日より「180日」が経過した休眠顧客の掘り起こしです。
ダイレクトメールやアウトバウンドをすれば、それなりにコストもかかりますが、ステップメールを使えばほぼ無料で行うことが可能です。
ネットショップによくあるポイントシステムを使うことで、心理トリガーを刺激することができるので、休眠顧客を再購入に促す事ができます。
※前提条件:ポイント制度あり、ポイント有効期限は最終購入日から180日
※休眠顧客掘り起こしのステップメール全体設計
① 起点(ステップメール配信のきっかけ)
「最終購入日から150日経過」を起点に設定します。
② 訴求内容1 「損を気遣う」
お客様の貯めたポイントの失効期限を通知し、損をさせない気遣いを行います。
③訴求内容2 キャンペーン情報
訴求内容1「損を気遣う」とは変わり、お得な情報を提供します。
その時のコツは、貯めたポイントを失いたくない気持ちを刺激しながら、お得な情報も加えて、アプローチすることで休眠顧客を掘り起こします。
ステップメールで休眠を掘り起こす1通目の書き方の例文をご用意致しましたので、参考にして下さい。
【書き方の例文】
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- お客様名を入れる● 様
いつも●店舗名を入れる●をご利用いただき、誠にありがとうございます。
本日はポイントの有効期限についてお知らせに参りました。
- お客様名を入れる●様がお持ちのポイント●【保有ポイント数を入れる】●の
有効期限が●有効期限日を入れる●までと迫っております、
ポイントは有効期限を過ぎると失効となりますのでご注意ください。
<保有ポイント期限の更新方法は?>
保有ポイントの有効期限は●設定条件と期間を入れる●です、
失効の前に貯まったポイントはご利用ください。
<現在開催中のキャンペーン情報>
ポイント有効期限が迫ってこられたお客様限定で
全ポイントがご利用可能なお得なキャンペーンを実施中です
http://●キャンペーンページのアドレスを入れる●
<その他商品一覧>
http://●商品一覧ページのアドレスを入れる●
<ポイント数・有効期限の確認>
http://●ポイント数・有効期限確認ページのアドレスを入れる●
<ポイントの利用方法の確認>
http:// ●ポイント利用方法ページのアドレスを入れる●
今後とも、●店舗名を入れる●を宜しくお願い致します。
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【応用編3】 リピーターへの定期購入促進
最後にご紹介するのはリピーターだが定期購入ではないお客様への定期購入促進です。
「商品は気に入っており複数回購入をしているが、定期での購入はしたくない」と考えるお客様も少なくありません。
そんな優良顧客予備軍のお客様を定期の優良顧客へ育てるステップメールも効果的です。
※リピーターへの定期購入促進のステップメール全体設計
※前提条件
通常購入と定期購入で優遇差が以下のようにあります。(差があると、定期促進が効果的です)
・ポイント還元率
定期購入→購入額の3%、
通常購入→購入額の1%
・定期継続回数による継続割引
定期3回目以降 →商品価格3%OFF
定期5回目以降 →商品価格5%OFF
定期10回目以降 →商品価格10%OFF
①起点(ステップメール配信のきっかけ)
「商品」と「購入回数」を設定。
「購入回数」は、損の大きくなる4回目に設定。
②訴求内容1 「損を気遣う」
制度の存在を再度説明。また通常購入を選ぶ理由と考えられる、
「自分のペースで使いたい」を解決できるように、「周期の変更方法」や「停止方法」を説明します。
ステップメールでリピーターへの定期購入促進を行う1通目の書き方の例文をご用意致しましたので、参考にして下さい。
【書き方の例文】
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- お客様名を入れる● 様
いつも●店舗名を入れる●をご利用いただき、誠にありがとうございます。
本日はポイントの有効期限についてお知らせに参りました。
本日は当店のお得なシステムのご紹介でございます。
既にご存知とは思いますが●お客様名を入れる●のご利用ペースですと
一層ご活用いただける制度でしたので改めてご紹介させてください。
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①ポイント還元率
当店では購入時の金額に応じて
定期購入…5%
通常購入…1%
のポイントを還元しております。
②定期継続回数による継続割引
当店では定期コースのご利用に限り、継続割引制度がございます。
定期 3回目以降→商品価格 3%OFF
定期 5回目以降→商品価格 5%OFF
定期10回目以降→商品価格10%OFF
※定期継続中は通常購入商品へも割引が適用されます。
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本制度をご活用いただき、お得にケアをご継続ください、
制度についてわかりにくいものがあればサポートセンターまで
お気軽にご相談ください。
<定期コースへの乗り換え希望はこちら>
http://●お問い合わせページのアドレスを入れる●
<定期コースの制度紹介はこちら>
http://●制度紹介ページのアドレスを入れる●
今後とも、●店舗名を入れる●を宜しくお願い致します。
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まとめ:デジタルコミュニケーションが多様化してもステップメールは有効!
前回と今回の2回に渡り、健康食品や化粧品の単品リピート通販でのステップメール活用事例をお届けしてきました。
ステップメールは、お客様が商品を必要とするタイミングに合わせたアプローチができることが長所です。
Facebook・TwitterやLINEなど、コミュニケーション手段が多様化した現在でも、多くのオンラインショップがリピート率アップの施策として取り入れております。
中には、ダイレクトメールやディスプレイ広告とも組み合わせてるオンラインショップもあります。
起点(ステップメール発信条件)となる条件を絞り込むことで、コスト調整にも使えるので、ステップメールはリピート率アップの基本戦略として最適です。
ぜひフル活用しましょう!