2018/01/16

『脱定期縛り後のコールセンター活用戦略』2018年トレンド予測インタビュー

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2017年は、物流市場が大きく変動した一年であったが、お客様に最も近い位置にいるといっても過言ではないコールセンターの対応の仕方にも大きな変化が生じたという。

脱定期縛り、複雑化するオファーに対応したコールセンター活用戦略についてお話を伺いしました。

 オファーが多様化し、顧客対応の難易度が上がった

大塚 西野さんの専門である顧客応対、コールセンターの観点では、2017年と2016年を比較してどんなことが印象的でしたか?

西野 コールセンターの現場を通して、今年が去年とすごく変わったなと感じることは、お客さまへの応対方法です。

具体的には、各通販企業さんごとに様々な商材をお持ちでいる中で、売り方(オファー)が多様化してきたことと、通販企業のサポートポリシーに変化があったことです。

以前は「この商材はこの売り方」というシンプルな応対方法が主流だったのですが、2017年はお客様の要望に対する柔軟性ということで、細かい部分の変更や高いトーク力が求められるようになったと感じています。

大塚 柔軟な応対が必要になってきたということですが、具体的にどう変化しましたか?

西野 例えば、以前はある商材を売るのに、「自社のルールはこれ」という一方通行のご案内でほぼ済んでいた感じです。何か変更事項があっても、一点を修正するだけなので複雑にはなりませんでした。

でも、今では新規のお客様に対してご案内すべきことを増やしたり、さらに多くの商品をご購入していただくためのトークをブラッシュアップしたり。

他にも、単品で見せているものや初回オファーの強いものにはクロスセルや定期にアップセルさせたり。というように、新規獲得時の顧客応対に変化が凄くありました。

また、既存顧客からのお問い合わせに関しても、以前は「定期のサイクルを変えてください」って言われたら、「はい、承知いたしました」という簡単な流れで終わっていたものを、そこに別の商品のご紹介やお届けサイクルについてのアドバイスなどをプラスして行く傾向がありました。

つまり、お客様からかかってきたお電話にもセールスをする、1to1の応対品質をプラスする。などコールセンターのオペレーターにとってはスペックが求められるようになりました。特に、昨今は定期の離脱を防ぐこと、ご継続頂くことに重点を置いていらっしゃいますので、そのような流れになったのだと思います。

 “縛り売り”減少の流れから生まれた変化

大塚 このような変化というのは、2017年に入って急に変化したのですか?もともとコールセンターにおいてインバウンドアップセルや、定期の解約を抑止するという試みはありましたよね。それが急に目立ってきたのにはどんな背景があるのでしょうか?

西野 全体的に新規獲得が苦しくなった印象です。広告からくる新規顧客が少なくなってきたために、入ってきたお客様をどれだけ引き留めるのかに力を入れた結果ではないかと。2016年までは多くの新興通販企業が縛り売り(解約期間が限定されているものや、解約できるツールを限定してしまうことで、半ば強制的に継続購入につなげる売り方)をしていたといっても過言ではなかったと思います。

でも2016年あたりから2017年の頭にかけては、縛りではない売り方をする企業様が増えてきた。そうなると、もうその時点でオファーが違ってきますものね。

大塚 定期縛りへの規制がありますからね。

西野 そうですね、一番は行政などの動きです。縛りという売り方は、消費者に不満、反発、被害者意識を相当強く感じさせるオファーだったようで、行政まで意見が上がってしまったんです。

大塚 なるほど。つまり、定期縛りというシンプルなオファーが採用しにくくなってきたので、オファーが複雑化し、結果として顧客応対の難易度が上がってきてるんですね。

西野 そうです。テストした新しいオファーが合わないなと感じたら、その他の色んなオファーを試します。そうなると、例えばひとつの商材に対して10種類のオファーが用意されている場合には、顧客応対の場で全て答えられなければいけない。

Aというオファーで入ってきたお客様にはCキャンペーンは適用できないとか、Bのオファーで入ってきた方にはACまでのキャンペーン対象とか。通販企業さん側はそのような提案をどんどんしてくるんですけど、実際に応対するのは現場のオペレータなので、短時間でオペレーターの教育やシステムの変更など課題が積もります。

 大規模センターより小規模センターがオススメなわけ

大塚 オファーが変わることによってCSも変わるというお話でしたが、逆にそれだけ複雑に変化していく中で、CS対応はできているんですか?

西野 正直言うと、応対できているセンターとできていないセンターがあるように思います。アウトソーシングするにしても、これだけの変化が激しい中で、顧客応対していくとなると大規模センターさんではかなり大変だと思います。

大きなセンターというのは、当然働いているオペレーターたちも多い。受電するオペレーターはシェアリングシフト制で考えても数十人が所属しています。その中で、全員が同じサービスを提供していかなくてはいけないのですが、複雑な変化を半月スパンなどで変更されてしまうと、もう研修が追いつきません。

業務規程や、ルールに混乱が起きてしまったりそこからミスや応対クレームを引き起こしてしまうなんていうこともありました。

でも、小さな一室で応対できるような小規模センターであれば、連絡のやり取りが簡単に済みますし、コミュニケーションが取りやすいから順応性が高いんですよね。

例えば「メルマガの内容を変えました」との連絡があって、そのメルマガの中に「このことはコールセンターにぜひお問合せください」と書いてあったとします。その配信日などは、沢山の電話がかかってきてしまうので呼量を対応するのも一苦労です。

さらに情報の連携がないまま、お客様からのメールご内容についてお問い合わせが入った場合は、オペレーターたちは「何のこと??」っていう状態になってしまうのも当然です。そんな光景を沢山見てきました。

なので、私がコンサルティングする際はいつもマーケティング計画との連携を指導しています。CRMにも全てコールセンターが関わってきますので、様々なテストを希望される通販企業様などは、小規模センターをオススメします。小規模センターを複数に分けることによって、大量のコールの消化と、複雑な変化に対応するような仕組みづくりが可能です。

 中小企業・ベンチャーが厳しい時代に勝つためには

大塚 これまでのお話しですと、2017年に感じていることとしては、ベンチャーやスタートアップの定期通販企業にはますます大変な時期になってきているという理解で合ってますか?また、CS部門は今後どうしていったらいいですか?

西野 メールや電話など、CSラインの信頼できるパートナーがいる通販企業が勝ってくるのではないでしょうか。

通販企業内にCSの組織を作るのは、今後困難になっていくと思っています。理由は、コールセンターで働きたいという人の人材不足が大きいのと、CSについて後輩に教えられる先輩方がそもそも減少しているので、社内での発展は本当に難しくなってきてると思います。ですので、コールセンターのプロ集団としっかり手を結んだ方が絶対に勝ちだと思います。

大塚 確かにすごく納得できます。そのパートナーさんというのは、アウトソース先のコールセンターという意味なのか、それともコンサルティングのようなことなのか、どんなかたちをイメージしていらっしゃいますか?

西野 私は両方がベストだと思います。今、私自身も小さなコールセンターを開設していまが、そこでもメール対応もセットで始めました。電話&メールをやっていますが、コールセンターは電話だけという概念を捨てて、ワガママを受け入れる専門パートナーとつながった方が生産性は高いと思っています。

大塚 確かに。信頼できるコールセンター選びに失敗しないためにはどうしたらいいですか?

西野 専門のコンサルを雇っていただいたりとか!()

大塚 なんか、仕組まれたみたいな感じですけど()

西野 (笑)クライアントさんからよくある相談として、「通販とコールの両方を理解している西野さんに判断してもらいたい」というお声を良く頂きます。

これからの時代は、プロに任せていく時代だと思っているんです。どちらかに寄らないプロフェッショナルの方とです。社内でプロを囲う時代っていうのはもう終わり、新しい形を作る時代と思っています

会社が得意とする部分、例えば通販だったらマーケティングや企画に注力してその他に関してはどこか外部のプロフェッショナルと手を繋いでいくことによって、強い組織ができあがると私は思っています。

どの分野も社内で体制を備えるのはなかなか厳しいと思います。

大塚 確かに、色々と複雑化してく中で、全部内部でやろうとしたら間に合わないでしょうね。

西野 間に合わないと思います。

だって、物流の専門家がいないとダメ、システムの専門家がいないとダメ、顧客応対・CSの専門家がいないとダメ。でもそれだけの人が集まるかといったら、今は根本的に日本全体が人材不足なので、難しいんですよ。

 中小企業の悩みを解消する小規模コールセンター

西野 コールセンター運営としては、柔軟性を持っていないとダメになると思っています。

大塚 それはなぜですか?

西野 小さなコールセンターは、お客様の融通を聴けるところが強みなんです。大規模センターは大手企業様の受電を受けている所が多い傾向があるのですが、先ほどと同じお話になってしまうのですが、マーケティングやCRM施策がシンプルにまとめられている企業様が多いので、柔軟性よりも品質性など重きを置かれているのではないかと思います。

だから同じコールセンター、BPOといっても、全然ジャンルが違うというのが私の中の認識なんです。

大塚 そのお話しは、西野さんから初めて聞きましたね。

西野 最近、CoachStepで出来ること、小さなセンターで出来ることは何かとすごく考えたんです。私にしかできないセンターって何だろうと思いながら市場を今一度見てそんなとき、ベンチャーさんや中小企業さんが困り果てていらっしゃることを知り、私の力で悩みを解消してあげられればと。

そして実際に今、CALLLAIRLINEを動かしていますし、規模的にかなり似ている競合ともいえるようなもう一社さんでも研修をさせていただいたりしています。同じことをやっているので、とても良好な関係ですよ。一日何回も電話でのやり取りがありますし、それは大手さんではできないことですね。

大塚 定期通販においての電話応対の重要度に変わりはない感じですね。むしろ増しているようにも聞こえたんですけど、そのあたりはいかがですか?

西野 そうですね、大手コールセンターを中心に、IT化が進んできていますが、相変わらず電話は鳴りますね。LINEが顧客応対でも使われ、主軸となる世の中になっても、電話はなくならないと思っています。ただ、人手不足の問題は深刻ですね。

大塚 コールセンターの求人情報って紙面でしか分からないですが、現場としては、採用厳しいですか?

西野 確かに人気は低い職業で。。。。 現場は大変ですし、クレームも正直多いです。

本当のコールセンターの素晴らしさを知ると全然違うんですけどね!

 “LINE”がコールセンターを変える?!

大塚 ちなみに、先ほどLINEのお話がでましたが、実際に定期通販の顧客応対の現場においてはいかがですか?

西野 色々な課題はありますし、解決しないといけないものも沢山ありますが、やはりコスト削減を常に考えているのが通販企業ですので、電話量が多ければ多いほど膨大なコールコストがかかってきますから、削減したくなりますよね。

そういう意味において、電話回線を使う通常の電話ではなく、ラインのコールセンター応対などが始まっていくのではと思っています。

大塚 通販企業からしたら有難いものなんですか?LINE対応というのは。

西野 お客様とのコミュニケーションの活性化やスムーズ化、コスト削減化を考えれば喜ばれるのではないでしょうか。

大塚 まだ始められているところは少ないと思うんですよね。「そろそろやった方がいいのかな」といった話題は出ますか?

西野 LINEの話題はよく出ます。でも、「やってみたいんだよね~」っていうところ止まりで、次の段階まではちょっと足踏みしてるかな。

大塚 なるほど、ありがとうございます。西野さん、本日はありがとうございました!

編集後記

本日は、定期通販のCS部門のエキスパートである西野さんに色々とお話を伺いましたが、脱定期縛りオファーによって売り方が複雑化した結果、CS・顧客応対の重要度が増し、かつ難易度が上がってきている。という点をぜひ通販企業さんにはご理解いただきたいと感じました。

 

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