2017/12/22

【2018年未来予測】定期通販の回数縛りが崩壊?新たなトレンド、MAを取り入れたCRMとは?

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株式会社ライフェックスの工藤社長に、2017年の通販業界の大きな変化のトピックスと、それを踏まえて、2018年の商品周り・施策周りのトレンド予測について定期通販ラボ編集長の大塚がお話を伺いました。

定期通販の回数縛りはもう不要!?今こそ必要なCRM

大塚 2017年に新たな商品開発や、この出来事は大きかったといったことはありますか?

工藤 去年の年末に定期通販の販売プランの「3ヶ月縛り」のやり方が変わってくるだろうという予測をさせていただいたと思うのですが、今期はその予測通りに動いた気がします。規制が変わり、それに伴って表記の部分が変わってきたりしました。スピード感はゆっくりでしたが、思った通りの展開でした。

今年は単品リピート通販の売り方自体が変わってきて、回数縛りを設けない方がトレンドになってきていますね。規制があるので、回数縛りをやりたくてもできない会社さんもあるかもしれませんが、それだけではなくてCPO(注文1件を獲得するのに要したコスト)や定量的なデータから見ても、回数縛りを設けないオファーの方が販売数も増え、効率も良くなるというのが、ここ3ヶ月の傾向ですね。

定期通販の回数縛り(3ヶ月縛り)とは?どのように規制がかかったのか?

定期通販の販売手法で、「初回の購入を大幅に割引する代わりに、最低3ヶ月(3回)は購入し続けなければいけない」といった売り方。そのことをはっきりと明記しないことで、「消費者はお試しのつもりだったのに、定期購入になっていた。」というトラブルが相次ぎ、「定期購入であること」「支払総額」「契約期間」などの販売条件を明記することが必要となった。

大塚 それは興味深いですね!!安いオファーで回数縛りを設ける方がCPOが低くなる印象がありますけど…

工藤 去年はそうでしたね。1回目の購入は価格をガクンと下げて、2回目以降定価で売って、3ヶ月(3回)で利益を回収するイメージだったと思うのですが、消費者の購入の傾向から見ると、変わりつつあることがわかります。

中途離脱の数字を見ても、今は回数縛りを設けていない通常の定期通販の場合でも、定期通販の離脱数が回を追うごとに減っていくということは、なくなってきている実感があります。もちろんCRMのプランニングがあるのが前提ですが、縛らなくてもある程度の継続率、残存率が保てていると思いますね。

大塚 それは「今後回数縛りをどうしたらいいのか…」という不安に対して希望の光ですね。CRMをしっかりと行っていれば、そもそも縛らなくても良いということですから。

工藤 そういう意味ではCRMの問い合わせの件数が1年で10倍くらいになっていますね。通販業界全体が、新規顧客の獲得ばかりに目がいっていた状況が変わりつつあると思います。

原因としては既存のお客様に向けた販売促進費を使った方が効率が良いというのが浸透してきた点と、今までのような回数縛りができなくなってしまうという点、この2つが大きいと思います。

新規のお客様からの売り上げだけでは生き残れない

大塚 新規顧客獲得に関する話は、ここ1年で変わってきているんですか?

工藤 広告の審査の基準が厳しくなっているので、広告をうまく使えていない会社が多いです。

大塚 それは大手も中小もですか?

工藤 大手はもともと広告の表記でグレーなところは少ないのですが、中小だと広告の規制の変更で、今まで使えていた訴求が使えなくなっていて、なおかつ新しい規制の元で新規顧客獲得を行うノウハウがないんです。

よって、新規顧客の獲得数・獲得効率が低下しました。売り上げの8〜9割を新規顧客の購入が占めている企業も多かったのですが、そういったやり方は、やりづらくなりましたね。

大塚 では、定期通販の回数縛りに対する規制の話は一つの事象にすぎなくて、広告の表記に関する規制や、お客様の回数縛りへの警戒といった背景からCRMに注目が集まっているんですね。

工藤 実は回数縛りの規制もデメリットばかりではなくて、しっかりと定期購入であることを表記することで、消費者に納得して購入してもらえるのでLTVは伸ばしやすいんです。

縛りなしで3ヶ月買い続けるお客様は、かなり良いお客様なので、そういったお客様に企業理念やコンセプトを伝え、フォロープログラムを組むことで、その後の継続率を高め、新規顧客の獲得数が落ちても、質の高い既存顧客のLTVを伸ばして収支をプラスにできるんです。

今後求められるのは、お客様との信頼関係による継続購入

大塚 もともと工藤社長は「回数縛りは良くない。」と言ってやってきたので、この1年縛りなしのやり方を、試しでやってきたと思うのですが、回数縛りを設けずに定期販売をするときに抑えておくべき点はありますか?

工藤 回数縛りの悪かった点は、企業側の認識と消費者の認識のズレがトラブルを生んでいた点です。もともと消費者が3ヶ月続ける気だったなら問題はなかったでしょう。今回の法改正で表記を明確にすることで、企業と消費者の認識のズレが小さくなったと思います。

認識のズレがなくなれば、回数縛りを設けること自体は悪くないと思います。今期はヤマトの送料値上げが最も大きな話題だと思うのですが、送料の問題も紐づいていて、定期通販の考え方は変わってきました。お客様にいかに購入を続けてもらえるか、お客様と企業の認識を一致させることで、定期通販のあり方も変わってくる気もします。

大塚 回数縛りというシステム自体より、企業と消費者で認識のズレが発生することが問題なんですね。

工藤 例えば、化粧品もサプリメントも、お客様は1ヶ月でやめる気は無いんです。お客様もたった1回使っただけで劇的なビフォーアフターがないことはわかっていますから。そういったところを両者が歩み寄って同じ認識でいることで、長いお付き合いができるのではないかと思います。

大塚 今回の法改正は、事業者側にすればお客様に向き合う良い機会ですかね。

工藤 そうですね。中にはすでにしっかりとお客様と向き合っている会社もあります。お客様が商品を10年使っているといったケースもあります。商品はバージョンアップもしていきますし、企業とお客様の信頼関係があると、10年来の愛用者も出てくるということです。そういったお客様をいかに増やせるかが今後のEC通販のあるべき姿じゃないかなと思います。

MAを使って“自動で”顧客の状態に合わせた最適な対応をする

大塚 お客様との向き合い方が変わるという話でしたが、CRMの観点から際立ったトピックはありましたか?よくMAの話とかありましたが、いかがですか?

MA(マーケティング・オートメーション)とは?

見込み客の獲得から、販売までのマーケティング業務を、ツールを用いて一貫して管理し、自動化・最適化する施策のこと

工藤 そもそもCRMへの認識や、有識者の方が社内にいないのが現状だと思います。

大塚 それは大手もですか?

工藤 大手も含めて、もちろん中小も全部含めてです。EC業界にCRMの概念が根付いていないんですね。私もかつては事業者側でしたが、CRMという言葉は正直その当時は知らなかったんです(笑)。実はやっていたことはCRMだったのですが、当時はそういった認識はありませんでしたね。

大塚 その時はデータベースマーケティングをやられてたのですか?

工藤 そうですね。

大塚 顧客関係管理やマネジメントとは違ったんですか?

工藤 やってることはそうでしたね。でも「CRMをやるぞ」という感じではなく、マーケティングの一環でやっていました。(当時いた会社は)今もデータベースマーケティングで顧客情報管理には長けていると思いますけど…。最近だと会社内にCRM事業部があるというのはよく目にしますね。

大塚 EC業界で、ですか?

工藤 はい、名刺交換させていただいて、「株式会社〇〇 CRM事業部主任」といった方とお会いするケースも増えてきた気がします。

大塚 それは大きな変化ですね。

工藤 はい、今までは絶対なかったですからね。CRM事業部では、お客様の獲得後のフォロープログラムを考えているのですが、まだまだ定量データのお仕事ですね。CRMは定量と定性、お客様の趣味・嗜好だったりのバランスが大事だと思うのですが、まだまだデータ管理の領域に過ぎない会社が多いです。先ほどのMAツールはそこを管理するには必須になりつつあります。

大塚 増えてるんですか?

工藤 そうですね。1年前はほとんどなかったですよね?

大塚 定期通販の中でMAはほとんど聞きませんでしたね。

工藤 どちらかというと、これまでのCRMの認識では「新規顧客の再購入率を高めること、お試し購入から定期購入に繋ぐこと」だけが考えられてきました。だからMAツールがなくても管理できたんです。

でも今は顧客がいろんな属性に分布している中で、それぞれに適したシナリオを作らないと、自社のお客様の満足が最適化できなくなっています。例えば、私はお客様を3階層に分類しています。購入から1年以内に再購入がある方を「アクティブ」、1年以上買っていない方を「休眠」、その間を「仮眠」とします。そうやって自社のお客様を分類して数字を見ると仮眠・休眠状態のお客様が割と多くて「仮眠・休眠客の呼び戻しもやらなきゃいけない!」となるんですよ。

すると、今までなかった仮眠・休眠のお客様に対するシナリオが新たに必要になります。さらに、数回購入した仮眠・休眠客と、定期購入で5年買ってくれていた仮眠・休眠客ではシナリオも変わってきますよね?それだけ複雑化したシナリオを人が管理するのは難しいので、MAツールをかなり駆使していかないと全ては管理しきれないかなと思います。

 

 

数回購入した

数年間購入した

今も定期的に購入

アクティブA

アクティブB

たまに購入する

仮眠A

仮眠B

最近購入していない

休眠A

休眠B

 

大塚 現状は初回購入から入ったところくらいしかフォローアップができていないですよね。

工藤 そこは大塚さんが詳しいと思いますが、最近では「いかに引き上げるか、いかに続けてもらうか」というところから認識が広がってきている気はしますね。

メールからLINEの時代に突入!お客様が使いやすいツールでコミュニケーションを取る

大塚 MAを使用してデータを分析してお客様にアプローチすると思うのですが、アプローチ手段はメールが一番ですか?

工藤 いや、近年はメールはもちろんですが、SNS、LINEのコミュニケーションをいかに仕組み化できるかが重要だと思います。

大塚 LINEはリピート通販の業種以外ではよく使われていると思うのですが、なぜ、リピート通販でも重要なのでしょうか?

工藤 問い合わせもそうなのですが、20代から50代までLINEというコミュニケーションツールが根付いているからです。LINEがない時は電話、DMで済んでいたのですがLINEでコミュニケーションするのが当たり前になってきているので、そうするとメールは見ないんですよね。メールボックスすら開けない。そうすると、お客様にコンタクトしやすくてお客様も使いやすいコミュニケーションツールはLINEになってきます。

ただ、まだLINEをコミュニケーションツールのライフラインとして使いこなしている会社様がまだまだ少ないです。大切ことは事業者側のメリットだけでなく、お客様の満足を高めることで、お客様のアフターケアの満足を高めるのは重要なことだと思います。そういった意味ではLINEは外せないかなと。

大塚 この間仕事した企業さんがLINEの友達が多くて、「どんなオファーしてるんですか?」と聞いたら「特にしてない」とのことでした。LINEでコミュニケーションを取るのは当たり前なので、オファーがなくても友達になるのだというのは衝撃的でしたね。

工藤 そうですね。LINEにもメリット・デメリットがあって、企業アカウントは敬遠されがちで未読が続いてします。そのあたり、LINEをどうライフラインとしていくのかはテクニックが必要だと思います。後はLINEは管理が大変ですね。メールもそうですが、いかにone to oneでコミュニケーションをとっていくかがポイントで、そうなると事業者側がその情報をどうやって管理していくかが課題になってきますね。

大塚 コミュニケーションツールなので、ただの情報管理ではないですもんね。

工藤 それが先ほど言った「定量データではなく定性データ」として、今後どう社内に蓄積していくかが2018年のトレンドになってくると思います。

大塚 LINEでコミュニケーションが取れるので、その中で定性情報を吸い上げることができれば良いですね。

工藤 そうですね。今後はMAもそういった仕組みが進化していくのだろうとは思います。

【2018年予測】本当の意味で2018年はCRM元年になる

総括: 今回のお話では、回数縛りを設けなくても、CRMをしっかりやっていれば購入率が低下することはないこと、回数縛りの問題点は企業と消費者の間にズレが生じていたことであることがわかり ました。回数縛りへの規制を機に、お客様への向き合い方を変え、お客様と信頼関係を築く企業が結局は、長期にわたる愛用者を得る一番の方法だとわかりました。

2018年は本当の意味でCRM元年となりそうです。

 

 

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