2018/03/07

お客様の心理状態から考える、マーケティング知識ゼロでもできるCRM施策

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「通販でCRMが大切だと聞いたけれど、実際よくわからない…」

これは、私たちのところに相談に来られる方がよく感じておられる悩みです。CRM、顧客関係管理と言われても、なかなかイメージしづらいです。

そこでスタークスでは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングのエキスパート楠瀬健之氏による、スタートアップ〜年商1億円未満の段階にある定期通販企業の経営者・責任者様を対象に行った「スタートアップのための通販CRM」セミナーを開催しました。

このセミナーの反響はとても良く、マーケティングについてあまり詳しくない方にもCRMについて理解していただけましたので、今回特別にコンテンツ化して公開することにしました。セミナーに出席できなかった方もぜひご覧になってください。以下コンテンツです。

お客様の心理状態を知ればCRMは簡単

CRMにおいて最も大切なことは、「なぜお客様が商品を買ってくれるのか?」を知ることです。お客様がなぜ買っているのかを知らないと、いざ施策をしようとした時に何をしたらいいのかがわからなくなります。「なんとなくうまくいっていそうな会社がやっていることを真似してやってみる…けれどうまくいかない」といった状態になってしまします。

では、どうすれば良いかというと、お客様が商品を購入するときの心理状態を知ることで改善策を打ち出すことができるようになります。「今お客様はこの感情を刺激されたんだな」というのがわかれば、その感情を大きく刺激することでき商品を買い続けてもらえますし、買わなかった感情を理解することで、その感情を刺激しないようにすることができます。

支配的感情を理解し、理想の状態をイメージしてもらう

お客様の頭の中に常にある問題・悩み・不安・欲求・欲望のことを支配的感情と言います。お客様が常に考えていることです。この支配的感情に対して、お客様が感じるメリットのことをベネフィットと言います。

支配的感情が「痩せたいけど運動をしたくない」方にとっては、「飲むだけで痩せる」というのがベネフィットです。よく間違えられるのが、ベネフィットが大きければ商品を買い続けてもらえるということです。例えば、「今までの5倍効果がある〜」といった表現をしても、商品に興味がない人からすると、あまり魅力を感じません。

ベネフィットを誇大広告にして売るのではなく、ベネフィットの先にある理想の状態をイメージしてもらうことで、興味を持ってもらい、買ってもらうことができます。その商品がお客様の人生にどういった影響があるのかを見せると効果的です。「こんな効果がありますよ!」と直接伝えるのではなく、見込み客の理想の状態を体現している姿をお客様の声などで見せることが効果的です。

常にお客様の支配的感情を理解して、理想の状態を把握し、表現することが、CRMでリピート率を上げるために必要なことです。

ですから最初に、お客様がどういった心理状態で商品を購入するかをお伝えしたいと思います。

お客様の心理状態といっても、客層に応じて大きく異なります。お客様を分類することで、細かく心理状態を理解することができ、どんな施策を行えば効果的かが自然と見えてきます。

ビジネスの売り上げを決める8:2の法則

ビジネスをやっていると、2割のお客様が8割の売上を作り、8割のお客様が2割の売上を作るという状態に安定することが理想です。特に、数が増えて来るとこの割合に収束します。新規顧客の比率は8割で売上は2割です。もし、この割合になっていないならリピート施策などを改善する余地があります。8:2の法則に当てはまるなら、CRMはすでにできているので、別の商品開発などをする必要があります。

まず第一段階の分類として、8割の売り上げを作っている総購入金額の上位20%の層を「優良顧客層」、残りの80%を「一般顧客層」とします。さらに詳細に「優良顧客層」「一般顧客層」を以下のように分類します。

もちろん、きっちりとこの数字になるわけではないのですが、大切なのはしっかりと顧客のリストを分類しておくことです。なぜなら、所属している客層が異なると、商品を購入する際の心理状態も異なるため、それぞれに合わせて施策を変える必要があるからです。

5段階の客層それぞれの心理状態と行うべき施策

では、それぞれの客層の心理状態について説明していきます。

一見客

商品を1回しか購入しなかったお客様です。1回しか商品を購入しなかった人は、そもそも相性が合わなかった、初回特典だけを狙っていた、あるいは競合が市場調査のために買っているパターンです。

この層のお客様はどうにもならないことが多いです。つまり、どうにもならないものにお金や時間をかけても無駄に終わってしまいますので、この層は追いかけないほうが良いです。マーケティングを学んでいるとすべての人にリピートしてもらおうと考えるのですが、僕も実際やってみて不可能でした。どれだけCRM施策をしっかりと行っても、リピートしない人は存在します

ポイント!
・どんなにしっかりと施策を行っても、リピートしないお客様がいることを把握する

定着客

定期通販の場合、「○回以上購入したら、それ以降は基本的に購入を続ける」という分岐点があるはずです。まずはその分岐点を見つけます。既存のお客様を、何回商品を購入しているかで人数を集計し、購入率が下がらなくなるポイントが分岐点です。

例えば4回以上購入したお客様はその後買い続けてくれるということがわかったら、まずやるべきことは4回お客様に購入してもらうことです。2回目に買ってくれたお客様にやることは、3回目を買ってもらうことです。これを「ずっと買い続けてもらうためにはどうすれば良いか?」と考えてしまうと、何をやったらいいのかがわからなくなります。

ポイント!
・継続購入の分岐点まで、次の購入に繋がる施策を行う。2回目購入なら、3回目購入をしてもらい、3回目購入なら4回目購入をしてもらう。

そして、この層のお客様は一定期間は買い続けてくださるのですが、商品の優先順位があまり高くない人達です。

購入の判断が決まる、商品の優先順位とは?

お客様には1ヶ月の予算があります。例えば世帯収入が50万円で、住宅ローンが10万円、子供の教育費が5万円など、優先順位の高い順にお金を使います。衣食住など、生存に関わることは問答無用にお金を使います。趣味や娯楽などは、月のお財布事情に応じてお金を使います。

定期通販で買っている商品にも優先順位がついています。人は優先順位の高いものからお金を使うので、お客様の中で自社商品の優先順位を高くすることがリピートに繋がります。優先順位を上げておかないと、他の出費が増えた月は買わないという選択をされてしまいます。そうならないレベルに優先順位はあげておく必要があります。

定着客は、今直面している問題を解決したいから商品を買っています。すぐに結果が欲しくて、実益があるから買っている状態です。そのため、ある程度問題が解決する、競合の商品の方がコストパフォーマンスが良さそう、といった理由で買うことをやめてしまいます。

商品購入の優先順位に関してはその人の人生観も関係してくるので、そこまでこちらが変えることはできません。お客様自身の人生が変わるのに伴って優先順位も変わります。絶対にリピートしてもらうことは不可能であることを知っておきましょう。無理矢理繋ぎとめようとして、大幅な割引オファーをして会社が疲弊して潰れてしまう事もあるからです。しかも安売りをしたところで優先順位が変わるわけではないのでリピート期間も伸びません。

定着客に対しては無理にリピート期間を伸ばそうとするのではなく、リピート期間内に関連商品をクロスセルで買ってもらうことができます。逆に初回の購入時にはクロスセルは行わずに、初回購入した商品を使ってもらうことに全力を尽くします。リピートしないことの原因の一つが、商品を使っていないから効果を実感していないからです。

優良予備顧客

基本的には定着客層と同じく商品の優先順位がそこまで高くはないので、積極的に情報を集めて買おうとはしませんが、オススメされれば商品をどんどん購入する層です。商品を紹介すると「そんな商品があるならもっと早く教えてよ!」という人達です。どうせ買うなら良いものを買いたいけれど、自分から情報を調べることはしない状態です。

このように、リピートしてくれたお客様の中で優良顧客でない人のうち、上位層は少し刺激を与えると商品を買ってくれる人達です。商品の魅力をしっかりと伝えて、理想の状態に結びつければ商品を購入します。

ただし、その売上は一時的なものなので長期的には買い続けません。この層に対してプロモーションを行うと、短期的に売上をあげることができますが、長期的には収束していきます。

ポイント!
・短期的に売上を上げられるので一時的に利益を出したい時に活用する

優良顧客

こちらからアプローチしなくても商品を買ってくれるお客様です。買って、買って、買いまくる層です。また、「そんな使い方してるんですか!?」というような用途で買っていることもあります。商品に対して、こちらの想定外の魅力を感じていたり、想定外にのめり込んでくれている方々です。

この客層がメインターゲットになります。この人達のことをよくリサーチして、同じ属性の人を集めることで、良いお客さんとだけお付き合いすることができます。

また、優良顧客の商品の買い方や使い方を優良予備顧客の人に伝えることで、優良顧客に引き上がります。ポイントはこちらから使い方を指定しないことです。お客様の方が会社よりも賢いです。こちらが思いもよらない使い方をしているからです。

その情報を活用しないのは勿体無いです。優良顧客の商品の使い方を聞いて商品にすることもできます。朝専用コーヒーなんかがそうです。商品自体は変えずにパッケージを変えて売る方法です。ニュースレターのお客様の声も優良顧客を主人公にした方が良いです。優良予備顧客の方々の継続率も上がります。

ポイント!
・優良顧客をメインターゲットにしたプロモーションを行う
・優良顧客の商品の使い方を優良予備顧客に見せて、引き上げを狙う

超優良顧客

最も商品を買ってくれるお客様です。最も商品を買ってくれるので、この層をメインターゲットにしてしまうことが多いのですが、実はそれが間違いなのです。その理由を説明します。

超優良顧客には2パターンあります。

一つは超大金持ちです。商品を買うときに、安い値段でお値打ちな商品を紹介されても、あえて高いものを買います。高いものは良い商品であることを知っているからです。健康食品や化粧品は安いことがプラスに働かないことがあります。この人達は商品をどんどん買うのですが、そもそも思考回路が大多数のお客様と異なるので参考にしてはいけません。

もう一つは圧倒的な情熱やコンプレックスがあるパターンです。例えば、衣・食・住には全くお金を使わないのに、コレクションにはお金を惜しまないような情熱がある方です。あとは、いろんな商品を試したけれど効果が出ないので、とにかく商品をたくさん買いたいというようなコンプレックスを抱えた方です。これだけ情熱があったり、困っているお客様はそんなにいないので、こちらも参考にしない方が良いです。

ポイント!
・よく商品を買ってくれるからといってメインターゲットにはしない

休眠顧客の心理状態と施策

このようにリストを分類すると、同じ商品を買ってくれたお客様でも状態が全く異なることに気づくと思います。それぞれの状態に合わせて最適なアプローチをする必要があるのです。そして、同時に休眠顧客も同じく五段階に分けることができます。

ここでのポイントは、元々優良顧客で休眠になった方が戻ってきたときは、同じく優良顧客状態ということです。例えば飲食店の場合、その店に来なくなっても別の店で同じ金額を使っているので、金銭感覚は変わらないんです。だから戻ってきてもらえると、同じ頻度で同じ金額を使ってくれます。ですから休眠顧客の呼び戻しも元の状態に応じて行います。

まとめ

超優良顧客に対してはできるだけ会う

ことが大切です。お金持ちのパターンだと人前に出ることを嫌うので、密かに贈り物をしたりします。もしくはブランドがやっているような個別対応です。情熱・コンプレックスの人たちは座談会などに来てくれてお客様の声を聞かせてもらえます。自分が商品の広告になることで承認欲求が満たされるからです。

優良予備顧客の人には優良顧客のことを知ってもらいます。
定着客の方には離脱するまではやめないでいてもらいます。
一見客はどうしようもないので深追いせずに諦めます。

また、優良顧客層以上は割引をすると怒ります。足元を見られたと感じるからです。この人たちに効果的なオファーは希少性や優越感を感じてもらうものです。

割引オファーに魅力を感じて反応するのは定着客です。ただ、商品の優先順位が上がるわけではないのでリピート期間が変わらず、売り上げが下がります。そこで、定着客へのオファーとしてはクロスセルの商品をプレゼントするといったことができます。プレゼントをきっかけにクロスセル商品を購入してくれることがあるからです。

もしくは、離脱の分岐点で割引オファーをしてリピート期間を伸ばすといったこともできます。購入継続の分岐点までと、離脱の分岐点で割引が効果的に使えます。
次回(コンテンツ2へのリンク)は会社側の行動で、どのようにお客様の心理状態を変えていくのかを説明します。

追記:お客様なのに営業スタッフ!?「紹介VIP層」

あとは「紹介VIP」という層がいます。言ってしまえば、商品を勝手に紹介してくれる方です。こういった方は承認欲求を満たされたくて紹介しています。ですから、紹介してくれた方に対しては必ずお礼をしてください。お礼をすればどんどん商品を知人に紹介してくれます。

また、こういった方々はパーティーが大好きです。例えば有名人がいるようなパーティーに参加している自分をSNSで拡散して、広く認知してほしいと思っています。ですから感謝パーティーのようなものをしてSNSで拡散したくなるようなイベントを開くと、より効果的です。

追追記:Q&A

Q:5段階の客層の分類は、どの項目の数字で分けたら良いですか?
A:総購入額で分けるのがわかりやすくて、やりやすいです。もしくは、購入点数や回数で分けることもできます。

Q:5段階の客層の分類について、どれくらいの人数からこの割合になりますか?
A:100人くらいからこの割合になります。もちろん、電話や直接訪問による丁寧なフォローを行えばこの数字も変わってきます。とはいえ、100人くらいからそういった丁寧な個別対応が不可能になってきます。

創業期のうちは効率を無視してでも数を増やす必要があります。ただそれも短期的な施策なのでお客様の数が増えてくるとそういったことができなくなり、結果この割合に収束します。

・短期的には全力で営業して効率度外視の対応
・長期的には顧客を分類して効率化

といった使い分けをしないと、会社が持たなくなります。

次回は会社側の行動で、どのようにお客様の心理状態を変えていくのかを説明します。

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